2011年11月23日
知多 豊浜漁港 某場所
2011年11月23日(水) 祭日 豊浜漁港
一杯をかけたい・・・
これは、フィクションでもなければ、ハクションでもない。
年の終りが近づいてきたある日曜日のことである。
もちろん、まだ除夜の鐘はなっていない。
アオリイカ達は、深場へと移動し、シーズンも終りを迎えようとしていた。
残っていたものも移動しようとしていたその時、
一人の男が静かな物腰でやってきた。
「もうおしまいですか?」
「いえいえ、どうぞ、どうぞ。」アオリイカ達はやさしく答えた。
男は、静かに竿をふり始めたが、伏し目がちに、
「あの~、家族三人で一杯だけでいいんですけど・・・。」
「はいよ、アオリ一杯!」 一匹のアオリイカが答えた。
中型のアオリイカが、エギへのアタック準備を整えた。
「大型のがいけばいいじゃないか。」
「いや、そんなことをしたら、かえって気を使う。これぐらいでいいんだ。」
アオリイカ達は、この男の状況を見ながら、話し合った。
「そうだね。」 先ほどのアオリイカもやさしい表情で答えた。
そして、中型のアオリがエギを抱きついた。
しかし、男は、はずした。 合わせが遅いのである。
中型のアオリは何度も、何度もエギを抱いた。
しかし、その男は、ことごとく、はずした。
そして、一度も掛けられなかった。
だが、なぜか、最後に、満足げな表情を浮かべて帰って行った。
そして、その翌年もその男はやってきた。
「あの~、家族三人で一杯だけでいいんですけど・・・。」
「はいはい、アオリ一杯!」
「はいよ!」
アオリイカ達は、覚えていた。
そして・・・、
アオリイカ達はエギに、どんどん抱きついた。
だが・・・、
その男は、見事なまでに掛けられなかった。
男は、防波堤に当たる波を見ながらしばらく茫然としていた。
そして、うつろな目でぼそりと、
「また来年の楽しみだな・・・。」
アオリイカ達は、なぜかあたたかい眼差しでこの男を見送った。
そして・・・・、
その次の年の話は、・・・・
まだ書けない・・・。
本日(勤労感謝の日)は、豊浜漁港へ今シーズン初のカレイ釣りである。
一杯をかけたい・・・
これは、フィクションでもなければ、ハクションでもない。
年の終りが近づいてきたある日曜日のことである。
もちろん、まだ除夜の鐘はなっていない。
アオリイカ達は、深場へと移動し、シーズンも終りを迎えようとしていた。
残っていたものも移動しようとしていたその時、
一人の男が静かな物腰でやってきた。
「もうおしまいですか?」
「いえいえ、どうぞ、どうぞ。」アオリイカ達はやさしく答えた。
男は、静かに竿をふり始めたが、伏し目がちに、
「あの~、家族三人で一杯だけでいいんですけど・・・。」
「はいよ、アオリ一杯!」 一匹のアオリイカが答えた。
中型のアオリイカが、エギへのアタック準備を整えた。
「大型のがいけばいいじゃないか。」
「いや、そんなことをしたら、かえって気を使う。これぐらいでいいんだ。」
アオリイカ達は、この男の状況を見ながら、話し合った。
「そうだね。」 先ほどのアオリイカもやさしい表情で答えた。
そして、中型のアオリがエギを抱きついた。
しかし、男は、はずした。 合わせが遅いのである。
中型のアオリは何度も、何度もエギを抱いた。
しかし、その男は、ことごとく、はずした。
そして、一度も掛けられなかった。
だが、なぜか、最後に、満足げな表情を浮かべて帰って行った。
そして、その翌年もその男はやってきた。
「あの~、家族三人で一杯だけでいいんですけど・・・。」
「はいはい、アオリ一杯!」
「はいよ!」
アオリイカ達は、覚えていた。
そして・・・、
アオリイカ達はエギに、どんどん抱きついた。
だが・・・、
その男は、見事なまでに掛けられなかった。
男は、防波堤に当たる波を見ながらしばらく茫然としていた。
そして、うつろな目でぼそりと、
「また来年の楽しみだな・・・。」
アオリイカ達は、なぜかあたたかい眼差しでこの男を見送った。
そして・・・・、
その次の年の話は、・・・・
まだ書けない・・・。
本日(勤労感謝の日)は、豊浜漁港へ今シーズン初のカレイ釣りである。
10:30 豊浜漁港に到着である。
今日は、祭日であるが、漁があるので、市場前では、釣りができない。
そうなると、釣り桟橋か、市場横の防波堤であるが、
相変わらず、人が多い。
そこで、市場を斜め前に見るある場所でやってみることにした。
ここは、100m以上投げれば、市場前と同じところを探れる。
しかも車はすぐそばに駐車することができるところである。

斜め正面に市場がある。

左手には、小さい子を連れた方が、右側は、ファミリーである。
ここは、正直あまり実績がないところである。
だが、今の時期、逆に竿抜けしている可能性がある。
そこに賭けてみることにした。
えさは、岩虫と青虫ミックスである。竿は3本である。
ここは、謙虚に、
まず一枚である・・・ 50cm以上で・・・・
でへへ・・・。
でや~!
・・・
飛ばない。 肩を痛めたのか、腕が上がらなくなっている。
100mが限界か・・・。糸はナイロン4号で染め分けてないので
どれだけ飛んだかわからない。一応200mぐらい飛んだことにしておこう。
だが、一投目から当たりである。上がってきたのは、ハゼである。

まあまあの型であるがハゼはハゼである。
その頃、海の中では、アオリイカも含めた魚たちが何やら話しあっていた。
「あの、男や! きっとまだアオリイカが釣りたいんだよ・・・。」
「いや、今日はカレイ狙いみたいやで・・・、一枚でええって言うてたわ。」
「謙虚だねぇ。」
「でも、50cm以上・・・とか言うて、笑てたで~。」
「しかも、ハゼ釣って、 けっ! とか言ってたで~。」
「・・・。」
「・・・。」
「シカトしとことか。」
「そうやな!」
その頃、男は、自身に満ち溢れた様子で、うすら笑いを浮かべながら竿を眺めていた。
天気は、今にも泣き出しそうであった。

潮はいいはずであるが、天気が・・・。
男は、ときどき、車に戻っては、ポテチ、チョコパイ、100円スイーツ、菓子パンと次から次へと食べている。釣りに来ているのか、ピクニックに来ているのか、はたから見ているとわからない。
左隣の人が、30弱のアイナメを釣りあげた。堤防の際へ落としこんでおいたもので釣れたようである。
右隣のファミリーは、先ほど25cmほどのサバをサビキで釣っていた。
もちろん、この男の竿は、ピクリともしない。
だが、全く気にする様子はなさそうである。
完全に釣れると思い込んでいるようである。
その頃、海の中では、この男の仕掛けの周りに、 さわるな! という注意書きが立てられていた。

鳥たちは、海の中と、この男を交互に見ながら、へらへら笑って眺めているのであるが、この男が、それに気づくはずもない。
市場の方では、潜水士が潜って、石積の作業を行っているようで、水中も水上も、
すーはー、すーはーという音で騒々しい。
ご年配の常連が現れ、この男に、あの潜水作業があるうちは、釣れない・・・ と教えているようであるが・・・。
その後も、この男の竿は沈黙を続けた。
16時、辺りは暗くなりはじめ、市場前には、漁を終えた船がどんどん戻ってきていた。
近くを通った船が、この男の一本の竿の仕掛けを引っ掛けたようで、妙に慌てたようであるが、すぐに外れて仕掛けは無事であった。
「おー、錘助かったピー。」
ふざけたことを言っていたようであるが、
すぐに別の竿を上げようとして、根掛りで一式ロストしたようである。

市場横から来たご夫婦は、小さなカレイやアイナメを何匹か持っていた。
その男は、それを見て、何かのまねをしたようであるが、よくわからない。
ときどき歌も歌っていたようであるが、その声は風にかき消されてよく聞こえなかった。
そして、その男は、暗くなるまで、釣り続けたが、もちろん、ハゼ以降なにも掛けることはできなかった。
その男は、何に満足したのか知らないが、幸せそうな笑いを浮かべて帰って行った。
これは、・・・・フィクションにしておきたい。
今日は、祭日であるが、漁があるので、市場前では、釣りができない。
そうなると、釣り桟橋か、市場横の防波堤であるが、
相変わらず、人が多い。
そこで、市場を斜め前に見るある場所でやってみることにした。
ここは、100m以上投げれば、市場前と同じところを探れる。
しかも車はすぐそばに駐車することができるところである。
斜め正面に市場がある。
左手には、小さい子を連れた方が、右側は、ファミリーである。
ここは、正直あまり実績がないところである。
だが、今の時期、逆に竿抜けしている可能性がある。
そこに賭けてみることにした。
えさは、岩虫と青虫ミックスである。竿は3本である。
ここは、謙虚に、
まず一枚である・・・ 50cm以上で・・・・
でへへ・・・。
でや~!
・・・
飛ばない。 肩を痛めたのか、腕が上がらなくなっている。
100mが限界か・・・。糸はナイロン4号で染め分けてないので
どれだけ飛んだかわからない。一応200mぐらい飛んだことにしておこう。
だが、一投目から当たりである。上がってきたのは、ハゼである。
まあまあの型であるがハゼはハゼである。
その頃、海の中では、アオリイカも含めた魚たちが何やら話しあっていた。
「あの、男や! きっとまだアオリイカが釣りたいんだよ・・・。」
「いや、今日はカレイ狙いみたいやで・・・、一枚でええって言うてたわ。」
「謙虚だねぇ。」
「でも、50cm以上・・・とか言うて、笑てたで~。」
「しかも、ハゼ釣って、 けっ! とか言ってたで~。」
「・・・。」
「・・・。」
「シカトしとことか。」
「そうやな!」
その頃、男は、自身に満ち溢れた様子で、うすら笑いを浮かべながら竿を眺めていた。
天気は、今にも泣き出しそうであった。
潮はいいはずであるが、天気が・・・。
男は、ときどき、車に戻っては、ポテチ、チョコパイ、100円スイーツ、菓子パンと次から次へと食べている。釣りに来ているのか、ピクニックに来ているのか、はたから見ているとわからない。
左隣の人が、30弱のアイナメを釣りあげた。堤防の際へ落としこんでおいたもので釣れたようである。
右隣のファミリーは、先ほど25cmほどのサバをサビキで釣っていた。
もちろん、この男の竿は、ピクリともしない。
だが、全く気にする様子はなさそうである。
完全に釣れると思い込んでいるようである。
その頃、海の中では、この男の仕掛けの周りに、 さわるな! という注意書きが立てられていた。
鳥たちは、海の中と、この男を交互に見ながら、へらへら笑って眺めているのであるが、この男が、それに気づくはずもない。
市場の方では、潜水士が潜って、石積の作業を行っているようで、水中も水上も、
すーはー、すーはーという音で騒々しい。
ご年配の常連が現れ、この男に、あの潜水作業があるうちは、釣れない・・・ と教えているようであるが・・・。
その後も、この男の竿は沈黙を続けた。
16時、辺りは暗くなりはじめ、市場前には、漁を終えた船がどんどん戻ってきていた。
近くを通った船が、この男の一本の竿の仕掛けを引っ掛けたようで、妙に慌てたようであるが、すぐに外れて仕掛けは無事であった。
「おー、錘助かったピー。」
ふざけたことを言っていたようであるが、
すぐに別の竿を上げようとして、根掛りで一式ロストしたようである。

市場横から来たご夫婦は、小さなカレイやアイナメを何匹か持っていた。
その男は、それを見て、何かのまねをしたようであるが、よくわからない。
ときどき歌も歌っていたようであるが、その声は風にかき消されてよく聞こえなかった。
そして、その男は、暗くなるまで、釣り続けたが、もちろん、ハゼ以降なにも掛けることはできなかった。
その男は、何に満足したのか知らないが、幸せそうな笑いを浮かべて帰って行った。
これは、・・・・フィクションにしておきたい。
Posted by ノープリウス at 22:59│Comments(0)
│知多半島
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